人に教えること:2005-02-02

例の講習会が無事に(と、私は思っているのだが)終了した。75分間を5コマ分。ほぼ全編をパワーポイントとプロジェクタで通した。今回は、昨年作製したウエブページのHTMLファイルを元に、講習会資料の冊子用原稿を(一部は今回のために書き下ろし)ワードファイルとして書き起こし、ワードファイルを元にパワーポイントプレゼンテーションを作製するという手順。講習会参加者が、資料の冊子を手許に置いて、パワーポイントプレゼンテーションを見ながら、冊子にメモを書き加えていくことを想定している。講習会は数名の教官で分担しているが、あらかじめ、資料用小冊子の内容とプレゼンテーションの内容を十分に一致させる、という取り決めがあった。

元のHTMLは十分に標準に準拠させていたつもりである。しかし、その後のワードファイルへの変換、さらに、パワーポイント資料作成に関して、あまり効率のよい作業とはいえなかった。特に感じるのは、オフィスの閉鎖的な互換性障壁に加えて、オフィス内部でのデータのやりとりがかなり融通が利かないということである。オフィスの中で、まともな画像処理が出来ないのは深刻な問題で、画像を組み込むのに、どうしても他のソフトに依存せざるを得ない。私は、フォトショップエレメント+EpsonTWAINで行ったのだが、Photoshopを持っていない同僚は、スキャナのユーティリティで直接読み込んで、Previewで表示してカットアンドペーストをやっていた。解像度や画質の調整など、成るように成れ、という感じだった。もっとも、他の資料をスキャナでコピーすることは著作権上の問題があり、なるべく自前で図を用意するのであるが、オフィスでこの部分はパワーポイントの領分である。私は主に、FreehandMX、もしくはFireworksを使うのだが、Powerpointの互換性の低さは手強いものがある。

素朴なパワーポイントの話題をひとつ前に紹介したが、私がやったように、全編パワーポイントでやるには、かなりの無理がある。プレゼンテーションが、演者から聴衆へ、ほぼ一方通行の情報伝達(口演終了後の質疑は別立て)となっているのに対し、講習会で人に教える場合、講習会参加者からのフィードバックが極めて重要である。提示した資料や紹介した知識に対する理解度をその場の雰囲気から感じ取り、十分な理解が得られていないと思ったら、時間配分やら、話題や説明のレベルを柔軟に切り替えてゆく必要がある。少なくとも、私が作製したパワーポイントファイルは、ストーリーが一方通行で、柔軟性に欠ける。これは、パワーポイントというソフトの性格上、やむを得ない。使い方の問題というと、それまでだが、結果的に、パワーポイントの仕様に嵌め込まれてしまう不自由を感じる。そのような観点に立つと、複数のプレゼンテーションを組み合わせて、ひとつのストーリーを構成していく配慮や、プロジェクタの画面サイズに支配されないように努力することが必要で、その部分をパワーポイントはサポートしていない。提示する図を部分的に拡大したり、上下・左右にスクロールさせる機能も欲しい。プレゼンテーションを切り替える際に、見え隠れするデスクトップの醜悪さや無意味さも、OS側のもつ障壁のひとつである。