ドットマックという厄介なもの(2006-11-27)

家と職場でデータを共有したいと思うことがある。きょうびはUSBのメモリという大変便利なものがあり、ちょっとデータを運ぶにすぐれた道具と思うが、私のような仕事をしていると、データのセキュリティは大変重要で、データが一個漏れただけで大騒ぎになり、表沙汰になると、間違いなく新聞ネタにされるだろう。一個のメモリを失ったり、持ち歩いているパソコンを盗まれたり、あるいは職場で盗難にあったり、大変危険な橋を渡っている。実際にデータが外部に漏れてしまった場合に、どの程度まで注意深くしていると責任を回避できるのか分からない。もう一つの問題点は、バージョンの管理だ。いい加減にやっていると、最新のバージョンかどれなのか判然としなくなり非常に拙い。

.Mac(ドットマック;アップル社がユーザーに提供している有料サービスのひとつ)にはiDiskというサービスが付随している。要するに外部サーバー上に1GB分のデータを保存できるのだが、このサービスがマックOSとことさら親和性が高いように配慮されている。ファインダウインドウのサイドバーにiDiskアイコンを表示させて、まるでUSBかFirewire経由で外部ドライブを操作するようにiDiskにアクセスしてファインダの操作ができるような錯覚を覚える(インターネットに繋がっているとき)。

記憶メディアの管理というセキュリティ上の責任をドットマックのような外部のサーバーに依存できれば大変楽だ。セキュリティ上の問題のみならず、データの出し入れがもたらすバージョンのブレの問題や、さて、始めようと思ったときに手許に無いために仕事にならない、とか、そういった状況を回避できる。はずである。

実際にアップルも「フラッシュメモリ vs iDisk」という記事の中でインターネット上のデータ保管の優位性を強調していて、

USB フラッシュメモリより、iDiskを使う。これが賢い学生生活を送るための「常識」というわけ!

などと宣伝している。私もそう思う。ただし、リモートサーバーがまともに働いてくれたらのはなし。

職場で一台、自宅で二台、都合3台のマックを管理しているけれど、いろいろなデータを同期させることはとても役に立つはずで、実際、.macを使い始めた最大の動機はiCal(OSXに付いてくるアップル製の情報管理-カレンダソフト)のデータを自宅と職場で同期させたいからである。ブラウザのブックマークを共有させることも出来るが、これはサファリ以外のブラウザはお呼びでないらしい。ウエブページのお気に入りの管理はソーシャルブックマークサービスを利用すれば、サファリを使うよりずっと便利と思う。.Macを使えばメールデータも共有できるらしいが、私は仕事を家庭に持ち込みたくない。

iDiskは大変遅いと思う。一見、OSが管理する外部ドライブのように見えるiDiskなのだが、いくつか制約があるようで、私が常用しているバックアップソフト「TriBackup3」ではうまく働かない。ファインダ上のコピー操作も遅すぎる。また、ファイルのコピー操作を行うと、ファイル作成日が情報として残らず、変更日がコピー操作した日時に変わるためファイルのバージョン管理が困難になる。いらいらさせられることばかりで、使うのを諦めた。

結局、iCal以外はほとんど役に立っていないようだ。

Backup3(.Macのオマケに付いてくるアップル製のバックアップソフト)は毎日決まった時間になると何かをバックアップし始める。何かをバックアップするように設定したのはもうずいぶん昔の話だし、何だったかなぁ。バックアップを取るばっかりで、復元が必要な状況にならないとバックアップソフトのありがたさは理解しにくい。というか、来年は止めちまうサービスにいくら熱心にバックアップとっても仕方がない気がする。

すばらしいと思う。こんなことが出来たらいいな、と思うことのいくつかが出来る。こんなことも出来たらいいなと思うことのいくつかは出来ない。しかしこいつの一番の問題点は、年間で9800円というくそ高いお値段だ。要するにお布施なのだが、どうしたものだろう。サクラのレンタルサーバーが年額で1500円だったと思う。較べちゃいけないのか?なぜ?私は、他にもいろいろとアップルさんには貢いでいる。OSとかiLifeとか、iWorksとか、いろいろ。ちょっとな。

アップルコンピュータそのものは、この世にある限り使い続けようかなぁ、程度には思っている。無くなりませんように、と念じている。しかし、ドットマックは今年限りという気分でいる。来年も使い続けようという気が起こらないから、せっかくの.macのメールアドレスを使う気にならない。それ以外もいろいろ使いこなしてみようという気にならない。言い訳としてはそういうことだ。

以前にもどこかに書いたと思うが、.Macの有用性を私は認めている。サーバーの管理などにコストがかかることも致し方ない。しかし、OSXの機能の一部は,Macの利用を前提としている訳で、.Macの最低限の機能はOSのオマケとしてQuickTimeのように無償で提供するべきではないかと思う。有用性を認めて、もっと使ってみたいと思う人に有料のサービスを用意したらよい。

もうちょっと熱心に使い込めば、もっとまともなレビューみたいなことも書けるのだろう。何しろ、ほとんど使っていない。使う気になって購入して、結局思い通りにならずにがっかりしたという状況なのだ。私が間違っているのか?