前回よりの続き。実は、幾つかうまく行かなかった点を覚え書きしたい。

まず、こういった作業にどれくらいの時間と労力を費やすことが出来るか、という点に注目する。日頃の業務をこなすための道具としてのパソコンであるから、作業が中断するような状況は避けたい。まして、何かトラブルで重要なファイルが回復不能になるようなヘマは何とかしたい。だから、安全、かつ迅速が必要である。そういう意味で、先ずはバックアップが重要。また、作業にとりかかるタイミングと、出来れば日常業務のバックグラウンドで作業を進行させるような配慮も要る。

内蔵HDDの選択と入手が最初のハードルである。まずウエブ上で通販価格を調べたが、日本橋の店頭で購入した方が安いことを知っている。店頭価格の方が2割ほど安く、また送料が不要である。店頭まで出向くための電車賃をコスト計算に組み込み、時間と労力も考慮し、ついでがあるときに立ち寄って、九十九電機で購入した。。

情報の収集に関して、私はMacFanという月刊誌をほぼ毎月買って、最新号からおおよそ2年分を保管している。残念ながらMacBookProの分解に関する有意義な情報は雑誌の中に見つけられなかった。雑誌は「あくまで自己責任で」というような情報を出しにくいらしい。また、BootCampにウインドウズをインストール済みで、内蔵HDDの入れ替えを考える人ががさほど珍しいケースとは思わないが、ウインドウズの設定・データを含めた環境移行の手順をウインドウズ音痴のMacユーザーに理解可能な形で提供しているページも見つけられなかった。有用な情報の多くはグーグル検索経由でインターネットから手に入れた。

 MacBookProの分解はTitanium PowerBookG4に比べると手順が多い。細かなネジも多いから無くさないように注意が必要だ。ねじ回しも丁度良いサイズを使うこと。T6のトルクスレンチを使うネジが幾つかある。ネジの位置は予め全て把握しておくこと。ケースを開けるときにねじが残っていると、回復不能なダメージをケースの構造に与える恐れがある。特に、モニタのヒンジ両側のネジは忘れないように。また、よく似た形のネジでも幾分形が違うものがあるので、外すごとに几帳面に仕分けておく。分解で特に緊張するステップは、キーボード一体のトップパネルを外すところ。手前側の引っかかりを外すのはほとんど暴力的にやらざるを得ない。なるべく均等に力を掛けて、まっすぐ上方向にパネルを持ち上げる。壊すつもりで一気にやる(もちろん、自己責任・自己責任・じこせきにん、と三回唱えてから)。バキッと不気味な音と共にパネルは外れる。パネルは一度外すと、次からは簡単に浮かせることが出来るようになる。

もう一つの困難な作業は、内蔵HDDに貼り付けられたケーブルを剥がす作業。力を入れる向きや場所が良くわからず、これも結局、慎重かつ暴力的にならざるを得ない。初期のモデルではこの部分にBluetoothのユニットが貼り付けてあるらしいが、私のにはそれはなかった。HDDは4つのゴムブッシュを介して本体にマウントされている。アルミニウム製の固定金具はトルクスレンチで二本のネジを緩めて外す。ドライブの右側を持ち上げて取り出し、SATAケーブルを外す。装着はその逆の手順で、外すより取り付ける方が簡単に思えるが、そこにトラップが仕組まれている。新しいドライブにケーブルを差し込み、ゴムブッシュを取り付けて本体に取り付けて固定金具で押さえてネジを差し込む。トルクスレンチで締める。といっても、そんなに力を入れたつもりはないが、ネジの頭がねじ切れてしまった。多分、ネジそのものの不良と思う。頭の取れたネジが本体に残った。あ、あ、あ。これはトラブルだ。ネジそのものはねじ穴から突き出ているから小型のペンチのようなものでつまんで外すことは出来そうだが、サイズの合うネジの持ち合わせがない。やむを得ず、残った一つのネジで金具を固定し、仮復旧ということにした。

実際の手順は以下の通り。

  1. TimeMachineで「今すぐバックアップを作成」(念のためのオプション)
  2. 新しいHDDをドライブケースに入れて外付けとした。
  3. そのままでは認識できなかったのでディスクユーティリティでフォーマットし、ドライブが動作することを確認した。
  4. LeopardのインストールDVDから起動
  5. ディスクユーティリティの復元で外付けドライブに内蔵ドライブを復元(所要時間2時間程度)
  6. 復元終了後、外付けドライブを起動ディスクに指定して、起動可能であることを確認。
  7. ドライブの換装作業。(HDDマウント金具の固定用ネジを一本破損)
  8. BootCampアシスタントでWindowsパーティションを作製(60GB)

とりあえず、新しいドライブにデータと環境を移行させることが出来た。所要時間は数時間程度。まぁ余り問題は無くて、合格点は取ったと思う。

新しいドライブにシステムを新規インストールしてバックアップからレストアをする方法では、バックアップを取る時間に加えて、新規システムのインストール、データなどの転送時間が掛かる。システムに何か不調を感じているなら、時間は掛かるがこの方法が良いかも知れない。復元コマンドを使う方法は時間が余り掛からず確実であるが、元のシステムの不調をそのまま引きずる。

もう一つ、TimeMachineは本来差分バックアップを取るはずが、新しいドライブに移したシステムを別物と認識してバックアップを取り直す。そのため、TimeCupsuleの中に2つ分のシステムのバックアップが存在することになる。容量は無駄だし、TimeMachineの連続性が保たれなくなる。TimeMachineのバックアップからシステムをレストアすれば、このような問題は起こらなかったはず。

後日、ウインドウズのシステムをインストールし直した。私はウインドウズを余り使っていない。せいぜい、ウインドウズユーザーから受け取ったオフィス書類の印刷に使う程度である。ウインドウズのパーティションに入っているデータその他は全てあっさりと捨て去る決心が付いた。というか、ウインドウズのバックアップはやり方が分からず、面倒くさくて諦めてしまった。新規インストールとなったので認証の問題を心配していたが、今のところ大丈夫なようだ。

分類
Mac
URL
http://www.oyakonews.com/oyanews/homep/HP2008/HP080812.html